クラウド型在庫管理システム・クラウドのメリットとシステムについて解説

クラウド型在庫管理システムと、そのメリットについて解説します。クラウド型在庫管理システムでは、これまで主流だったオンプレミス型の在庫管理システムとは異なり、社外のクラウド上にあるシステムをインターネット経由で利用します。これまでのシステムは、自社でサーバを構えて運用する必要がありましたが、クラウドは大がかりな準備を必要としないので、導入へのハードルも高くありません。

クラウド型在庫管理システムとは

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クラウド型在庫管理システムとは、これまで利用されてきたオンプレミス型の在庫管理システムとは違い、クラウドに設置されているシステムを、インターネット経由で利用するモノです。 クラウドは、ネットワーク上に置かれている、インターネットを経由してアクセスが可能なストレージスペースです。一般的には画像や動画、ドキュメントファイルなど、さまざまなファイルを保存するスペースに使われるクラウドですが、クラウドの用途はそれだけではありません。在庫管理など、さまざまなシステムにも使用されているのです。 在庫管理システムは、企業の仕入や販売活動を支援するシステムで、企業にとって生命線とも言えるシステムです。クラウド型在庫管理システムを導入することにより、企業はさまざまなメリットを得ることができます。

クラウド型在庫管理システムのメリット

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クラウド型在庫管理システムと、従来のオンプレミス型のシステムは、基本的な機能に変わりはありません。大きく異なるのは、情報をシェアする機能です。オンプレミス型のシステムは自社に設置されているシステムであり、外部からのアクセスは、セキュリティ面を考えても限定的です。自社のスタッフであっても、限定的な環境からアクセスするのが普通なオンプレミス型では、たとえば外部の取引先からシステムにアクセスして、システム内の情報を閲覧してもらうことは難しく、そしてセキュリティ面でも望ましくありません。しかし、クラウド型の場合は外部に設置されているため、アクセスに関する情報だけ渡せば、あとは顧客任せで在庫情報を確認してもらうことも可能です。もちろん、顧客はすべての情報にアクセスできるわけではありませんので、セキュリティ的な問題もありません。そのほかにもクラウド型在庫管理システムにはさまざまなメリットがあります。

システム管理の必要がない

クラウド型在庫管理システムでは、サービスの提供会社がシステムの管理を担当します。オンプレミス型では、すべてを自社で管理する必要があるため、クラウドの導入は人件費の削減にもつながります。

どこでも利用可能

インターネットを経由してアクセスするクラウド型在庫管理システムは、インターネット接続さえ確保できれば、どこからでも利用可能です。出張先、営業先、海外からももちろん使えます。

初期費用が安い

オンプレミス型の在庫管理システムでは、自社でサーバを用意して運用する必要があります。開発から始めるとすると、導入には数百万円もの費用が発生する場合もあります。しかし、クラウドの場合は、高くても数万円程度で導入することが可能です。

高い拡張性

在庫管理に限ったことではありませんが、クラウド型のシステムは、高い拡張性があります。たとえば自社の関連業務と連携させることで、効果的なビジネス戦略の立案にも役立ちますし、将来的に扱うデータ量が増えたとしてもかんたんに対応可能です。

リアルタイムで在庫管理

オンプレミス型の在庫管理では、倉庫での検品がデータとして反映されるまでに時間がかかり、一時的に実際の在庫数とズレが生じてしまうことがあります。クラウド型在庫管理システムでは、検品データをすぐに反映させることが可能なので、在庫数の信頼度も高くなります。

クラウド型在庫管理システムの活用法

すでに少し触れましたが、クラウド型在庫管理システムは、顧客に在庫情報を閲覧してもらったり、複数の倉庫で同じ商品を在庫したりする際、ひじょうに便利です。これまでのシステムでも複数拠点の在庫管理は可能でしたが、そのシステム自体を導入するハードルが高く、実際にはシステムが導入されている拠点以外の管理を行うことは困難でした。クラウドであれば、海外も含め、複数拠点の在庫データを管理することが可能になります。これはクラウドならではの活用法と言えるでしょう。

クラウド型在庫管理システムで注意すべきこと

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クラウドはメリットばかりのようにも見えますが、注意すべきこともあります。クラウドでは、タイムラグによる在庫数の一時的なズレは起きにくいのですが、それは適切に作業が行われた場合です。多くの企業の倉庫では、商品入荷時にハンディ端末でバーコードを読み込んでいますが、適切な設定が行われていないと、在庫がシステム側に反映されないことがあります。また、取引先がすでに購入している在庫を出荷せずに倉庫で管理するケースも考えられますが、こうした在庫の取り扱いルールをしっかり決めておかないと、在庫数がずれる原因となります。

クラウド型在庫管理システムのタイプ

クラウド型在庫管理システムには、いくつかのタイプがあり、特徴が異なるため、自社の業務に合ったタイプを選ぶことが大切です。

倉庫管理タイプ

倉庫管理タイプのシステムは、実在庫を常に追いかけることで在庫を管理するシステムです。バーコードなどを利用して、入庫や出庫、倉庫間の移動を追跡します。一般的な倉庫管理の実際として、帳簿と実在庫の狂いはどうしても起きてしまいます。これには、なんらかの理由でロット割れしてしまった商品、不良品の発生なども関係しています。このような在庫ズレを解消するには、実在庫を追いかけるこのタイプが適しています。

販売管理タイプ

このタイプの在庫管理システムは、販売管理の中に組み込まれたシステムです。受注から売上、請求といった販売管理のフローの中で、帳簿を使う形で在庫管理をしています。

EC管理タイプ

このタイプの在庫管理システムは、ウェブモールの出店者に適したシステムです。「Amazon」や「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」などのモールに対応し、受注データの取り込みから決済確認、出荷というそれぞれのプロセスで役に立つ機能が充実しています。在庫管理の機能は、他のタイプと比較して弱いと言わざるを得ませんが、中には販売管理システムに匹敵する帳簿型の在庫管理機能を備えたものもあります。

クラウド型在庫管理で扱う情報について

クラウド型在庫管理を選ぶ際は、自社のビジネスにマッチした製品を選ぶ必要があります。業界により、標準となるバーコードにも違いがありますし、使用される在庫管理情報も異なりますので、製品選択の際の参考にしましょう。 たとえば雑貨のネットショップを例にとると、バーコードは「EAN/JAN」に加え「ITF」が使われることがあります。医療用の医薬品を扱うショップであれば「GS1」のほか「EAN/JAN」に対応しておけばいいでしょう。 多くの在庫管理システムは、各業界で使用されるバーコードや在庫管理情報に対応していますが、システムにより得意とする業界があることは確かなようです。製品選びの際は、業界でよく導入されているシステムをチェックしておくといいでしょう。サービス提供会社のウェブサイトには「導入事例」が紹介されている場合もあります。